1970年代

戦後の高度経済成長により日本が経済大国となり、国際的な役割が高まるにつれ、等身大の日本の姿を海外に伝え、国際相互理解を図るとともに、文化の面で世界に貢献する専門機関の必要性を唱える声が、国内外から上がっていました。このような時代背景の下、1972年10月2日、外務省所管の特殊法人として国際交流基金が発足します。前身の財団法人国際文化振興会から海外5都市の拠点を継承し、組織の基盤づくりを行うとともに、日本を取り巻く国際情勢の変化に応じながら、文化芸術交流、海外日本語教育、日本研究・国際対話の各分野で今日に連なる事業を開始します。

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1972

  • 冬季オリンピック札幌大会

  • 沖縄返還協定発効

  • ⽇中共同声明

  • 国際交流基金発足
    ローマ、ケルン各日本文化会館、
    ニューヨーク、ロンドン、ブエノスアイレス各駐在員事務所、
    京都支部を国際文化振興会(KBS)より継承

  • 1972 基金開設披露宴での田中首相挨拶 15年のあゆみNo.25 30年のあゆみNo.2

1973

1974

  • 和文機関誌『国際交流』発刊

  • 和文機関紙『国際交流』発刊
  • 田中首相東南アジア歴訪、ジャカルタ・バンコク等で反日デモ

  • 日本語教材『教師用日本語教育ハンドブック』刊行

  • 作家アンドレ・マルロー氏(フランス)
    招へい(特別客員文化人招へい計画開始)

  • 1974 作家アンドレ・マルロー招へい 15年のあゆみNo.4 30年のあゆみNo.3

1975

1977

  • 「唐招提寺展」(フランス)

  • 1977 唐招堤寺展
  • 英国学士院長サー・アイザイア・バーリン氏招へい

  • 福⽥ドクトリン(東南アジア外交3原則)、
    ASEAN 文化協力事業に50億円の資金提供を表明

  • 文化人類学者
    クロード・レヴィ=ストロース博士(フランス)招へい

1978

1979

1980年代

経済成長を背景として、世界中で日本への関心が高まる中、1981~82年、イギリスで大型日本フェスティバルが開かれます。国際交流基金はその中心的な企画として「江戸大美術展」を開催、52万人を動員する成功を収め、以後、各国の芸術祭や文化機関と協力し、日本文化の紹介を強化します。他方、設立10周年を迎えた1982年には、国内で6件の記念事業を実施。外国文化の日本への紹介を本格化させます。また、日中平和友好条約の締結を受け、1980年、在中国日本語研修センター(現・北京日本学研究センター)を開設し、今日まで高いレベルの日本研究・日本語教育を行っています。この間、世界の日本語学習者数は順調に伸び、1984年に日本語能力試験を海外19都市で初めて実施。1989年には海外日本語教師の研修施設として日本語国際センターが開設されます。

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1980

1981

1982

1983

1985

1986

  • 男女雇用機会均等法施行

  • 沖縄舞踊団東南アジア巡回公演

  • 1986_zenei
  • 『基礎日本語学習辞典(英語版)』刊行(以後、順次各国語で発行)

  • 「前衛芸術の日本1910-1970」展(フランス)、来場者数15万人

  • 「前衛芸術の日本1910-1970」展

1987

  • 黒澤明監督作品等の中南米巡回上映会

  • JETプログラム(言語指導等を行う外国青年招致事業)開始

  • 設立15周年記念シンポジウム「国際文化社会を目指して」

1988

  • 「ジャポニスム」展(フランス、日本)、
    来場者数(フランス)12万人

  • 竹下首相ロンドン・スピーチ、「国際協力構想」
    3本柱の一つに国際文化交流

  • 「ソウル・オリンピック国際芸術祭」参加、韓国で初の歌舞伎公演

  • 「大名美術」展(アメリカ)

  • 「大名美術」展
  • 日本語テレビ講座『Let’s Learn Japanese』を全米33局で放映

1989

1990年代

1990年、日本へのアジア文化の紹介を行うアセアン文化センターが誕生。1995年にアジアセンターに発展改組され、アジア諸国との双方向交流を推進します。また、東西冷戦の終結と日米貿易摩擦の激化を背景に、日米同盟の強化を図る観点から、1991年、国際交流基金の中に日米センターが開設されます。以後、従来の対米事業に加え、知的交流と市民交流を通じて、両国の懸け橋となる人材を多数輩出するとともに、世界が直面する課題に対する日米共同の取り組みを一貫して支援しています。1997年には日仏・官民協働により、最大規模の海外拠点としてパリ日本文化会館が開館。また同年、各国の外交官、公務員、研究者など、さまざまな日本語学習者向けの研修施設として関西国際センターも開設されます。

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1990

  • アセアン文化センター開設

  • ノーベル賞作家
    ガブリエル・ガルシア=マルケス氏(コロンビア)招へい

  • フランクフルト国際図書展初の「日本年」参加・協力

  • 1990_tosho
  • 外国人登録者数100万人突破、海外渡航者数年間1000万人突破

  • 東西ドイツ統一

1991

1992

1995

1996

1997

1998

  • 冬季オリンピック長野大会

  • 舞踏「山海塾」ロシア・東欧公演

  • 1998_sankaijuku
  • 「縄文」展(フランス)

  • 1998_3
  • 第2回アフリカ開発会議(TICADⅡ)
    「アフリカ・アフリカ-熱い大陸のアーティストたち」展

  • 韓国、日本大衆文化の段階的な開放措置を開始

2000年代

グローバル化が進展し、世界における日本文化の存在感が高まる中、日本でも本格的な国際美術展の開催を望む声が上がります。国際交流基金は、長年にわたるヴェネチア・ビエンナーレへの参加経験に基づき、2001年、第1回横浜トリエンナーレの立ち上げに参画し、国内外から35万人を動員する成功を収めます。同年、米同時多発テロ事件が発生、2003年にはイラク戦争が始まる中、中東地域との交流を強化するとともに、2005年に米南東部を襲ったハリケーン・カトリーナの被害などを契機として「平和構築・災害復興と文化」という新たな課題にも取り組みます。2003年10月には特殊法人から独立行政法人へと移行。また、2006年には日中間の青少年交流を促進する日中交流センターが設置されます。2008年にはインドネシア、フィリピンとの経済連携協定の発効に伴い、看護師・介護福祉士候補者向けの日本語研修プログラムも始まります。

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2000

  • 「日蘭交流400周年」参加、協力、
    「日本とオランダの出会い」展等を開催

  • 2000
  • 九州・沖縄サミット記念シンポジウム・シリーズ「21世紀の展望」

  • 九州・沖縄サミット開催
    議題に「文化の多様性の尊重」

  • 「シドニーオリンピック芸術祭」参加

2001

2002

2003

  • イラク戦争

  • 日米交流150周年記念シンポジウム「再考:日本と日米同盟」、
    「日米関係の軌跡と展望」、
    「クール・ジャパン:新しい日本の文化力」

  • 2003
  • 中東交流強化事業開始、
    第1回対中東地域文化交流・対話ミッション

  • 新型肺炎(SARS)流行

  • 独立行政法人国際交流基金発足、第1期中期計画開始

  • J-ASEAN POPsコンサート
    (日本ASEAN交流年2003記念事業)

  • 2003

2004

2005

2007

  • 2007
  • 日本初の中央アジア現代演劇『コーランに倣いて』公演

  • 2007_quran
  • 「アチェの子どもたちと創る演劇ワークショップ」(インドネシア)

  • 日本在住の外国人登録者数200万人突破

  • 日本語学習サポート・サイト「日本語でケアナビ」開設

  • ノーベル賞作家ジョン・M・クッツェー氏(南アフリカ)招へい

2008

2010年代

東日本大震災を受け、文化交流を通じた復興支援の取り組みが強化されます。2014年には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」が始動。新たなアジアセンターが設置され、東南アジアを中心とする地域との双方向交流の拡大・深化を図ります。2018年には日仏交流160周年を記念し、国際交流基金を事務局として、海外で史上最大規模の日本文化の祭典「ジャポニスム2018」をパリを中心に開催。会期中353万人を超える来場者に日本文化の幅広い魅力を届けました。同年、世界の日本語学習者数は385万人に達します。国際交流基金は2010年に「JF 日本語教育スタンダード」を発表し、学習者のコミュニケーション能力を高めるための日本語教育の普及を加速するとともに、2019年には特定技能制度での来日希望者向けの日本語基礎テスト(JFT-Basic)も開始します。

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2010

2011

  • 中東諸国で民主化運動「アラブの春」

  • 「日独交流150周年」参加・協力、「北斎」展等を開催

  • (2011)56 北斎展
  • 東日本大震災

  • 米国の若手ジャーナリストグループ招へい、
    東日本大震災被災者に応援メッセージ贈呈

  • 2011
  • 『海外日本語教育機関調査・2009年』刊行、
    海外の日本語学習者数365万人

2013

  • 安倍首相、東南アジア諸国歴訪、
    「対ASEAN外交5原則」を発表

  • 『杉本文楽 曾根崎心中』
    欧州公演(スペイン、イタリア、フランス)

  • 2013-1
  • 日本語教材『まるごと 日本のことばと文化』刊行開始

  • 2013-2
  • 2020年夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定

2015

2016

2017

2018

2020年代

2020年2月以降、世界中に広がった新型コロナウイルス感染症は文化交流にも深刻な影響をもたらしています。国際交流基金は日本と世界の人々の交流の回路を閉ざさぬよう、オンライン事業などの取り組みを活発化させるとともに、より効果的・効率的に活動を展開できるよう、2022年4月、組織改編を行いました。50年前の設立当初、世界5都市でスタートした海外事務所ネットワークは、多くの人々に支えられ、24か国25都市へと拡大しました。

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